顔を上げて

物心ついた頃から、ひどく不自由な気がしていた。

幸せになりたいだけなのに、どうして争いが終わらないのか。

頑張れば頑張るほど、次の目標を与えられ、失敗は許されなくなり、失敗しまいとすればするほど、むしろできることが減っていった。

想いの鎖に絡めとられ、絶望に突き落とされた穴の中。

しかし、

目を閉じると全てが消えて、1つに溶ける。

全ては、等しく何かの原因によって存在する。

その存在を認識する心でさえも、何かの原因によって存在し、

その心の有無を司る、仕組みだけが真実に1つ実在する。

想いの鎖は、その仕組みの結果体で、

仕組みからみたら、事実は全て思い込みだった。

体を覆う鎖も、この体も、

全てが溶けて、消え去った。